お詫びとご報告
このたびの弊社原子力発電所の点検・補修作業に係わる事実隠しや修理記録等における虚偽の記載などの不適切な取り扱いにつきましては、これまで皆さまから弊社にお寄せいただいた信頼を失墜させ、立地地域の皆さまをはじめ、お客さま、株主の皆さま、そして広く社会の皆さまに、多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申しあげます。
点検・補修作業に係わる不適切な取り扱いとしてGE社より指摘のあった29件につきまして、詳細な事実調査を行ってまいりましたが、このほど取りまとめ、9月17日、その報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出するとともに、立地地域の自治体などへもご報告いたしました。ここにその概要と、再発防止対策についてご報告させていただきます。
調査結果の概要
- 調査の方法 弊社社内調査委員会を5月下旬に設置。GE社からのヒアリング、約15年分の検査報告書等の英文資料の精査、弊社保管文書の調査、社内外関係者約70名からの聞き取り調査を行いました。
- 調査の結果 機器のひび等を報告しなかった、機器のひび等の存在を伏せるため検査記録に事実と異なる記載を行ったなど不適切な点が、全29件中、16件について確認されました。
- 責任の所在 今回の一連の不適切な取り扱いは、原子力の点検・補修業務に関して、長年にわたり組織的に行われてきたと認めざるを得ません。その責任は、こうした業務を組織として遂行し、もしくは容認してきた発電所及び本店原子力部門が組織全体として負うべきものであることに加え、このような問題を把握し、改善することができなかった経営トップにあると考えます。
- 安全性の評価 現在も使用中の機器について、弊社は優先的に安全性評価を行い、安全上問題のないことを確認し、原子力安全・保安院からも直ちに原子炉の安全に影響を与えるものではないことの確認をいただいております。
再発防止対策の概要
- 情報公開を徹底し、社外の視点を取り入れた透明性の高い発電所運営にいたします。
- 立地地域の皆さまをメンバーとして「発電所地域情報会議」を設置。メンバーには原則として、所内フリーアクセスを保証し、すべての情報を提供します。
- 社外有識者の方による「原子力安全・品質保証会議」を設置。監査テーマの選定や、さまざまな改善策をご提言いただきます。
- 公正な第三者機関が業務プロセスなどを評価。また、品質管理・安全管理の専門家である社外人材を採用・配置します。
- 社員・組織の的確な業務遂行を支援する機能を強化します。
- 法令上、倫理上の悩みを気軽に相談できる窓口を設置します。
- 企業倫理の観点から、規程・マニュアルを総点検。必要に応じて法制化や基準の明確化を積極的にお願いしてまいります。
- 原子力部門の閉鎖性を打破し、風通しのよい企業風土にいたします。
- 発電所から完全に独立した組織として「品質監査部」を現地に設置し、問題がある場合は発電所長に対し、業務の見直しを指導します。また、弊社本店に新設する「原子力品質監査部」を通じ、現場の情報が速やかに社長に伝わる仕組みをつくります。
- 企業倫理の徹底をはかります。
- 社長を委員長とし、委員に社外有識者を迎えた「企業倫理委員会」を設置し、企業倫理遵守の徹底をはかります。
- 「企業倫理に関する行動基準」を作成し、企業倫理遵守のための教育・研修を徹底します。
今後弊社は、全社一丸となって皆さまからの信頼回復に向けて全力で取り組んでまいります。
今回の調査結果、再発防止対策の詳細や不適切な取り扱いが行われた背景、現在使用中の機器に関する安全評価などにつきましては、弊社ホームページ (http://www.tepco.co.jp) に掲載しております。今後も、随時情報を開示してまいります。
皆さまにご迷惑をおかけいたしましたことを、重ねて心からお詫び申しあげます。
東京電力株式会社
取締役社長 南 直哉