R.Feynkidの
ぶやき

ショッカーと仮面ライダーが戦う不思議

 『空想科学…』なんて本がいっぱい出ている。ヒーロー物の、いわゆるファンタジーを、物理学や生物学に照らし合わせ、“どんだけトンチキか”というのを楽しむ本だ。私も読んだことがあり、大いに楽しめた。
 ふと、脳裏を過ったのが、「物理的・生物学的に可能であっても、ショッカー仮面ライダーは戦わないのではないか?」ということだった。何で?
 ここでは、双方共、技術的には可能という前提としよう。そして、“宇宙の尺”、ではちょっと壮大過ぎるので“地球の尺”と、“経済”の2点から眺めてみたい。すると、どうにも戦うのが不自然なのだ。
 ショッカーは、世界征服のために、怪人を世に送り込んで、大暴れさせる。しかし、この怪人も、技術的に可能にするには、長年に渡り、秘密裏にコツコツとバイオテクノロジーの研究を重ね、やっとこ、さっとこで、実用に漕ぎ着けなければならないと思われる。秘密結社なので、おおっぴらに研究開発する訳にもいかず、かなり苦戦したはずだ。研究技術者をスカウトするのも一苦労だろう。
 もう一つの側である、仮面ライダーも、変身ベルトによって、変身するという、工業的ハイテクとバイオテクノロジー的ハイテクを融合、そしてそれらを駆使した技術によって実用化された、超人である。こちらの方は、変身して、また人間に戻るという、ショッカーチーム以上にハイテクであり、その開発途中の生物実験においては、“元に戻らない”等の悲劇的な犠牲も数多くあったはずだ。ショッカーチームの様に、テロリストの自殺志願者的に怪人を扱うのではないので、人間の臨床に至るまでの苦労は、並み大抵ではなかったろう。
 で、その姿や、振舞いを見ると、技術的な出典、言わば、参考にしたテクノロジーは違うように思われる。片や“施設で作られた変身”で、片や“ベルトによって、自由自在に変身”なので、全く別物と考えてもいいだろう。
 すると、全く別物の技術であり、且つ双方に交流が無いにもかかわらず、長い地球の尺の中、双方の技術がピンポイント(同時)で、実用化されるのが、非常に不自然になってくる。
 なぜ、ピンポイントと決めつけられるのか? それは、もしショッカーが仮面ライダーより1年早く、実用に漕ぎ着けていれば、ショッカーのやりたい放題で、あの強烈なキャラクター達によって、あっと言う間に、世界征服は達成してしまうだろう。同時期に仮面ライダーも実用化されていなくてはならず、もし、ショッカーチームが暴れ出してから、焼き付け刃の様に開発を進めても、間に合うものではない。
 しかし、もし仮面ライダーが早く実用化されていたら? でも、何がしたくて、仮面ライダーを開発してたの? ショッカーチームが暴れ出すまで、我々は、その存在すら気がつかないでいたのに…。一歩間違えれば、最強兵器になりかねない。意思を持ったロボットや、コンピュータが人間を滅ぼそうとする話しはよくあるではないか。しかも、中身(思想)は人間のまんまであるので、魔が差すこともあるかもしれない。そうなったら、一大事じゃないか! あれだけ世に貢献しているNASAですら、「開発研究費がもったいない」なんて言われ続けているのに、そんな危ないもんを開発できる土壌が、地球上に存在するたろうか?
 同時に活動を開始できるようにするとなると、双方で何らかの繋がり(密約)があるとしか思えない。家電量販店の某ヤ○ダと某コ○マの様に、同時にチラシを入れてきて、且つ品揃えがカチ合わないという、私には“仲良しなんではないか”としか思えない、なんて見方もできる。
 と、なると、あいつらグルか(爆笑)。もしかしたら、ショッカーは悪役レスラーで、仮面ライダーは、「世界を守ってやるんだから、それなりのギャラはもらうよぉ」っつーって、国連から予算の殆どを巻き上げ、ショッカーと山分けしているのかもしれない。日本が舞台なのは、日本政府から、金を取りやすいからではないだろうか。「人は出さなくてもいいから、金を出せ。」と…。
 もうちょっと違う方法で、お金を儲けるならば、やはり株の売買だろう。あらかじめ怪人を暴れさせる場所がわかっている訳だから、事は簡単だ。例えば、石油プラントで暴れる予定を立てる。それならば、石油関係銘柄を空売りしておき、そしてオプション取引を使い、買いを入れておけばいい。すると、まずは平時の株価で売ることができ、その後、怪人が石油プラントで暴れ、破壊されると、そのプラント会社は、操業は止まるし、設備を直さなければならないため、大幅に業績が悪化する。もちろん、株価も大幅に下落する。その下落した時に、先に高い値段で売っておいた株を、安い値段で買い戻すことで、その差額をいただく、って寸法だ。
 出現場所を変えるだけで、建設や造船関係銘柄なんかも、自由自在である。そうそう、お得意のバイオ関係銘柄も、怪人の機能で物珍しいものが出る度に、急上昇するかもしれない。東証の取引時間内に戦いが終わるなら、今回の怪人が、どれくらい“持つか”は、わかっているのだし、というか、仮面ライダーとの打ち合わせ通りなんだから、怪人が負ける直前を売るタイミングにすれば、高値で売り抜けることができる。
 もっとも、バイオ関係銘柄に関しては、怪人出現までに、押し目買いでジリジリと値を上げて、出現のタイミングで利益確定売りかもしれないので、うまくいかないかもしれない。でも、まぁいいか。
 ちなみに、これらの方法は、器物破損だし、インサイダー取引(?)か何かになると思うので、後で没収の憂き目に遭うと思うので、あまりお勧めできない。でも、誰が逮捕したり、没収に行くのかな? 踏み込むと、怪人がいるんだよ、嫌だよ(笑) 仮面ライダー? だってグルかもしれないんだよ、あてになんないよ(爆笑)
 では、お金の話しが出てきたので、経済面からも眺めてみよう。どうやら、ショッカーは、とてつもなくお金持ちの様である。怪人を作り上げられる技術を、自社のみの力で築き上げたと考えられる。まず、金融市場からの資金調達というのは、無理だろう。『世界征服ファンド』なんて聞いたこともないし、秘密結社が一部上場という訳にもいかない。私募ファンドにはあるかもしれないが…。第一、自社以外から資金を調達するならば、その資金源に、何らかの決算状況を知らせなければならない。いわゆるIR情報というものだ。これが曖昧ならば、資金は引き揚げられてしまい、研究は頓挫してしまう。もちろん、研究者の給与や、物の仕入れの関係等から、税務署も黙っていない。秘密結社なのに、数年に一度、税務署員が「監査に行きますから、よろしく」という事態になりかねない。
 という訳で、ショッカーチームは、自力資産で動いていたのだ。でも、その資産は半端ではないと思われる。何せ、彼等の怪人は、生物的にも珍しい機能が付加されているのだ。何か液体を飛ばせたり、触手がビローンと伸びてみたりと、一部の既知の生物でしか持っていない機能を、パワーアップして実用化しているのだ。これには、物凄い金がかかっているはずである。調べて、構造を理解するだけでも、“クストー船長もビックリ”の大変な研究だ。
 で、首謀者だが、この“金にまかせて世界を征服する”という発想が、何とも日本人的ではないか。もっとも舞台が日本だから理に適ってはいる。ユダヤ教を根源としたキリスト教やイスラム教を例に見ると、大成したものは、それを分け与えるのが、徳とされている。いや、そうしないと、教え上、大問題なのだという。日本でも昔、江戸時代の頃などは、大商人というのは、災害があれば『お助け小屋』を設置したり、大平の世では、信仰のために、富士見台なんかを作ったりもしていたようだ。とにかく、人のためにならなければ、商売揚がったりだったから、まぁ、仕方が無いと言われれば、それまでだが…。
 それにしても、ロックフェラーの、ひとつやふたつは簡単に買えそうである。と、アメリカ人にとって、忘れかけの嫌な話しをしてみた。いやいや、そんなもんじゃない資金力だ。
 そんなに金があるのなら、人々がひれ伏す行為が欲しいだけの、世界征服は必要だろうか? 「もういいじゃん」とは、ならないのだろうか? 人間の欲には際限は無いが、「六本木ヒルズに住みたい」とか「マイバッハが欲しい」程度のレベルではないのだ。金融で世界を牛耳ることも可能なレベルである。誰だか知らない庶民を膝まづかせるより、アメリカの大統領を顎で使ったほうが、面白いのではないか? 少なくとも、地球上のものは、なんでも買えそうだし…。
 という訳で、大金を投じ、怪人まで作って、仮面ライダーと戦う必要は無いのである。もっと何かが欲しければ、そのバイオテクノロジーのライセンス料で、さらにリッチになって、手に入れればいいだけの話しだ。
 ただ、世界征服が、この金持ちの趣味・道楽、いや酔狂と言った方が適切か。そんなもんだったら、経済原理は働かない。非常に厄介だ。なにせ、豊富な資金力に裏打ちされた“お遊び”に、税金で付き合わなければならない。何とも迷惑な話し!
 ここで、税金としてしまったが、仮面ライダーの立場を考えると、税金としか言い様が無い。(設定は忘れたが)もし仮面ライダーが民間人であるとすると、ケガや死亡するといったように、万が一の時に、政府は面倒な立場に追いやられる可能性がある。世論は厳しいはずだ。それを避けるためには、警察官、もしくは自衛隊員に任せる方が得策だろう。と、なると、当然に公務員となり、税金が使われることになる。変身関係の研究は、官学民の三つどもえになるだろうが、資金の大半は助成金になりそうだから、やはり税金だ。
 で、その金持ちが、「あぁー、面白かった。もう、やぁーめた。」と言ったら、仮面ライダーの立場はどうなるのだろうか? 今まで、民間人の振りをして、ショッカーと戦うことが仕事だったのに、今さら戻る部署が、席が、ポジションがあるのだろうか? 困った、どっかに天下りでもさせようか…。「変身ベルト? そこのICタグ付けて、コンピュータに登録したら、備品の倉庫に置いといてね。」


追記:訂正と「でもさぁ、何やってんだよっ。」

 あはははっ、自分の“てけとう”な記憶を頼りに、これまた“てけとう”な事を書いているのだが、ここで、訂正である。今回の話しのメイン、仮面ライダーって、ショッカーが作ったんだって?(笑) 手元にある『「世界征服」は可能か?(岡田斗司夫著 ちくまプリマー新書)』によれば、そうなんだそうな。おんなじ事を考えている人も多いんだなぁ。と言うか、また、こんな本ばっかり買って来て…。
 で、するってぇと(何故、べらんめぇ調?)、悪く言えば、仮面ライダーが寝返った、って事なのかな? 地球の平和は寝返る奴に託されちゃったの? もう、ここまで来ると、記憶も無いし、調べるのも面倒なので、後は適当に尻蕾みにしていただければ、幸いである。
 とは言うものの、ショッカーは悲惨だなぁ(えっ、蒸し返すの?)。最初に出来上がった“上物”が、真っ先に出て行ってしまって、その後の怪人は不出来だもん。タメ息。この辺は、企業活動と一緒である。特にベンチャーなんかは、キーマンが居なくなると終了だ。衝撃のデビュー作を作ってしまったミュージシャンなんかも、このパターンか。
 それにしても、また、新たな疑問だ。するってぇと、仮面ライダーはショッカーの素性は少なからず把握している訳で、ショッカーの組織壊滅を目標とするならば、どこを、どう、攻めればいいのかも、大体把握できている訳だ。そこを一気に攻めて、叩き潰してしまえばいいはずなのだが、でも、なぜか、次の怪人が出て来るまで、ぶらぶらしてるんだよねぇ。

もどる

(C)2007 Richard Feynkid