R.Feynkidの
ぶやき

スカラー波検出器(笑)

 私は仕事柄(どんなんだよぉ)、たまにインチキ先生が混じっていたりするので、世の中のインチキっぽい現象は、できれば把握しておきたいと思っているのである。
 古本屋を覗くと、「ニコラ・テスラの地震兵器と超能力エネルギー」たま出版 実藤遠著という、実にインチキな匂いのする本が95円であるではないか。消費税を入れても100円で収まる。話しのタネとしては高く無い。
 さて、その中にはスカラー波なるものがあるらしいと、書かれている。なんでも、現在我々が知っている物質とは相互作用しない、未知のエネルギーなんだそうだ。うーん、ありそうもない話しではあるが、科学というものは、一見マッドサイエンス的な発想が、後になって真実でした、なんて事があるので、一概に否定はできない。という訳で、読み進んで行ったのだが、スカラー波検出器の図で、ズッコケてしまった。なんだこの程度の話しで、スカラー波なるものがあるなんて言っているのか。とりあえず、図をご覧いただきたい。

スカラー波検出器(笑)

 電気や物理に興味の無い方には、それらしく見えるかもしれないが、実はダメダメである。まず、コイル風のものとバリコン風のものからなる、スカラー波同調回路部が一端解放なので、もはや同調回路ではない。しかも、一端解放なので、電流はなにも流れないと考えるのが普通である。百歩ぐらい譲って、電子回路として問題無いとしても、まだダメダメである。なぜか。物質そのものが持っているノイズを考慮に入れていない。常温では配線材に使われる金属は、自由電子や原子がプルプル震えたりする事により、ノイズがバリバリである。という事は、この人達は、現に知られているノイズをオシロスコープで見て、「やったー、スカラー波を検出したぞ。」と喜んでいるのだ。少なくともこの装置の場合は、アンプのノイズであろう。
 これでも、「しかし」と言う方もいるかもしれない。未知のエネルギーを検出するのだから、通常の電子回路ではないと、言い始めるだろう。それこそ「しかし」である。未知のエネルギーを検出する云々は関係無い。検出器そのものが、勝手知ったる物質で構成されているのだから、勝手知ったる振る舞いをするのだ。それ以上の現象は起こらない。だから、通常の電子回路でなければならない。
 という訳で、それでも70円分ぐらいは読んだと思うが、この先は読もうかどうしようかという思いである。なにせ、後半はもうスカラー波がある事を前提に話しが進められているのだから。

※図は「ニコラ・テスラの地震兵器と超能力エネルギー」たま出版 実藤遠著より

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