お知らせ

ご存じですか?「漢方」の現在。

 奈良時代に日本に伝わったと言われる漢方は、その後、日本で独自に発展をとげた伝統医学です。漢方薬は、近年西洋医学の中でも注目され、ひとつの薬剤で複数の症状に対応するなど、様々な領域で用いられています。作用メカニズムの解明も年々進み、これまで治療が困難とされてきた疾患においても、漢方薬による効果が期待されています。

現在、医師の8割以上が、漢方薬を処方しています。
 日本漢方生薬製剤協会が実施した「漢方薬処方実態調査」によれば、全体の83.5%の医師が、漢方薬を処方していると回答しています。漢方薬単独での処方が20.2%、西洋薬との併用が79.8%となっており、漢方薬を処方する理由の上位3項は、
  1. 西洋薬で効果がなかった症例で、漢方薬が有効 56.4%
  2. 患者さんの要望 44.3%
  3. エビデンスが学会などで報告された 33.6%
となっています。
日本のすべての医学部・医科大学で、漢方医学の教育が実施されています。
 大学医学部・医科大学において、平成16年度には、80大学すべてにおいて、漢方医学の教育が実施され、漢方外来の設置も、平成21年度には79大学(付属)病院に。漢方医学の教育を大学で受けた、多くの医師が毎年誕生しています。
漢方薬は、外科手術後の症状改善や、認知症のBPSDにも処方されています。
 たとえば、大腸ガンの外科手術後、腸管の機能は一時的に麻痺しますが、そのような状態の改善に大建中湯という漢方薬が広く用いられます。この処方において、作用メカニズムの解明が進み、科学的なエビデンスも蓄積されつつあります。また、患者数150万人から200万人と言われている認知症においては、約80%の患者さんに、何らかのBPSD(攻撃的言動や徘徊などの行動障害、幻覚・妄想や睡眠障害などの精神症状)がみられ、家族を含めた介護者にとっても、大きな負担となっています。そういった認知症のBPSDには、抑肝散が使用されています。
漢方薬は、国の医療費軽減にもメリットがあると言われています。
 慶應義塾大学病院の報告では、大腸ガンの外科手術後に大建中湯を投与した場合、腸管麻痺にともなう症状が改善されることによって、入院期間が3.5日程度短縮し、医療費が14万円程度削減されたという結果が出ています。このように、手術後の早期回復と、医療費の削減という2つの観点からも、医療用漢方薬への期待が高まっています。

JKMA 日本漢方生薬製剤協会
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Tel.03-3662-5757
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