お知らせ

昨年、東京電力の原子力発電所で起きたトラブルは6件。
その原因と対策についてご報告します。

(ここでいうトラブルとは、「核原料物質・核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」等に基づいて国に報告しているもの。)

6件のトラブルは、国際原子力事象評価尺度(INES)では、すべてレベル0-、0+(安全上重要ではない事象)です。


1/15 福島第二原子力発電所1号機のジェットポンプ計測細管の切断

国際原子力事象評価尺度(INES):0-

福島第二原子力発電所1号機は、定格出力で運転中のところ、炉心に流れをつくるために原子炉内に20台設置されているポンプ(ジェットポンプ)のうち1台の流量の値が高いことが認められたため、原子炉を停止し、原因を調査しました。その結果、ジェットポンプに水を送る原子炉再循環ポンプによる水圧変動の振動数が、このジェットポンプの流量を計測するための細管の固有振動数とほぼ一致していたため共振し、計測細管の外側表面に疲労によるき裂が生じて切れたものと推定されました。切れた部分を同じ材質の配管で接続するとともに、振動によるき裂が発生しないよう、固定具により固定しました。さらに、同様な固有振動数を持っている他のジェットポンプ3台の計測細管についても、念のため固定具により固定し、2月22日に発電を再開しました。

5/7 福島第二原子力発電所2号機の残留熱除去系の弁の不具合

国際原子力事象評価尺度(INES):0+

福島第二原子力発電所2号機は、定格出力で運転中のところ、原子炉停止後の冷却や非常時に原子炉に水を送る系統(残留熱除去系)の弁の開閉試験を実施していた際、完全に閉じなければならないところが、全開の状態のままで作動しなくなったことから、原子炉を停止して点検を行いました。点検の結果、この弁自体に異常はありませんでしたが、開閉試験の際に駆動力となる空気を制御する弁の動作不良によりこの弁が開いたままになったものと推定されました。このため、空気を制御する弁を新品のものと取り替え、5月12日に発電を再開しました。

5/24 福島第一原子力発電所6号機の燃料集合体からの微少な漏えい

国際原子力事象評価尺度(INES):0-

福島第一原子力発電所6号機は、運転中に原子炉水中のよう素濃度が若干上昇していたことから、計画点検中に燃料集合体の調査を行いました。調査の結果、漏えいのある燃料集合体1体が認められました。このため、この燃料集合体を健全なものに取り替え、6月1日に発電を再開しました。

6/18 柏崎刈羽原子力発電所6号機の空調機冷却水弁の不具合

国際原子力事象評価尺度(INES):0-

柏崎刈羽原子力発電所6号機は、定格出力で運転中のところ、原子炉格納容器から廃棄物処理系への排水量が増加していることが確認されました。直ちに運転に支障を及ぼすものではありませんでしたが、夏期の電力供給に万全を期すために、原子炉を停止し点検・補修を行いました。その結果、原子炉格納容器内に3台ある空調機のうち1台に冷却水を供給する弁から冷却水のもれが確認されました。この弁を分解して点検したところ、パッキンの劣化により弁の密封性が悪くなり、漏えいに至ったことがわかりました。このため弁のパッキンを新品と交換し、6月21日に発電を再開しました。

7/6 福島第二原子力発電所3号機のシュラウド下部リング表面のひび

国際原子力事象評価尺度(INES):0-

定期点検中の福島第二原子力発電所3号機において、原子炉の中にある円筒形の水流仕切り板(シュラウド)下部リング表面の溶接部付近にひびが発見されました。詳しく調査を行った結果、応力腐食割れ(材質・応力・環境の3つの要因が重なったときに発生する割れ)であることがわかりました。シュラウド製作時の機械加工で表面が硬くなったため、使用しているうちに表面に浅いひびが発生したものと推定されます。ひびの深さは平均約16mmで、運転上支障とはなりませんが、今後の運転に万全を期すため、タイロッドと呼ぶシュラウドを固定する支柱を取り付けて補修を行いました。定期検査を終え12月17日に発電を再開しました。

11/1 福島第二原子力発電所2号機の中性子の増加による原子炉自動停止

国際原子力事象評価尺度(INES)暫定評価:0+

福島第二原子力発電所2号機は、点検のための停止を終了して原子炉を起動していたところ、原子炉内の中性子の量が出力が極めて低い段階での自動停止のレベルに達したため停止しました。原因を調査した結果、原子炉の起動操作中に、運転員が中性子の変化を十分に把握しない状態で操作したために、中性子の量が増加し自動で停止しました。このため、原子炉を起動するときの操作時に、より注意深く監視するための留意事項などについて手順書に記載するとともに全運転員に再度徹底しました。11月8日に発電を再開しました。

●トラブル発生件数とその大きさ(2001年)
レベル70
レベル60
レベル50
レベル40
レベル30
レベル20
レベル10
レベル0+2
レベル0-4
評価対象外0
合計件数6

国際原子力事象評価尺度(INES)

原子力発電所で起きたトラブルの大きさを、世界共通の「ものさし」で評価するために、「国際原子力事象評価尺度(INES:イネス)」があり、わが国も1992年8月より正式に採用しています。INESでは、放射能の影響という観点からトラブルのレベルを0〜7の8つに分け、レベル4〜7までを「事故」(ACCIDENT)、1〜3までを「異常な現象」(INCIDENT)、0を「尺度以下」(DEVIATION)と呼んでいます。レベル0-、0+はどちらも「安全上重要ではない事象」であり、評価対象外は「安全に関係しない事象」です。

東京電力には福島県と新潟県に17基の原子力発電設備があります。


■東京電力の原子力情報をホームページでも公表しています。
ホームページのアドレスは、 http://www.tepco.co.jp/common/nuinfo-j.html


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